Study 研究

公開日: 2020.03.09

更新日: 2020.03.09

快適なBGMの音量(医療施設)

病院やクリニックなど医療施設での快適なBGM音量について、東京情報大学の西村明先生と実験を行いました。

 

医療施設で診察や会計を待っている間、音について気になったことはありませんか。
待合室での他人の話し声や、他の患者さんが呼び出される声、病院によっては機械音など、意外と音で溢れている医療施設では、昨今BGMを流すところも増えています。体調が悪い方にも快適に過ごしてもらえるBGM音量はどのくらいなのか、検証しました。

実験概要

医療施設を利用する患者にとって快適なBGMの音量を調査するために、東京情報大学・西村明教授と共同研究を実施しました。
最近、医療施設で診察を受けた男女20名を対象に、待合室で想定される音量の騒音に対し、それぞれ心地良いと感じるBGMの音量を調整してもらい、その数値を分析しました。尚、同じ騒音レベルでも施設の規模によって違いが出るかどうかを検証するため、クリニック(43dB/53dB)と、総合病院(53dB/60dB)に分けて実験しました。本実験には、USENの番組である、A-12「やさしいクラシック」の代表楽曲を使用しました。
※本調査では、単科や2~3の診療科で2~30人程度までの患者数の施設をクリニック、それ以上の規模の施設を総合病院と定義しました。

結果

騒音の大きさに対して快適なBGMの音量は変化することがわかりました。

このグラフから、医療施設の待合室の騒音レベルに対応して、快適に感じるBGM音量は変化することがわかります。また、施設の規模にかかわらず、騒音レベルが同じであれば、快適なBGM音量も同じになることがわかります。

この表を見ると、クリニックでの適正なBGM音量とされた41.9~47dBは、普通の声で3m以内なら会話が成立するとされる音量です。総合病院はそれより少し騒音も大きい想定なので、その分BGMの音量も上がっていますが、この音量なら呼び出しの声を妨げることもなさそうですね。

<実験監修:東京情報大学 総合情報学部 総合情報学科 西村明教授>

研究者からのコメント

今回は医療施設で診察を待つという設定で調査を実施しました。
音量設定の留意点として、過半数の人が診察や会計の「呼び出し」を妨げないことを挙げ、飲食店やオフィスでのBGMよりもさらに小さい音量が好まれました。
この程度の音量の音楽では、暗騒音よりうるさくなることはなく、そのため呼び出しを妨げないと言えます。

東京情報大学 総合情報学部 総合情報学科 西村明教授

九州芸術工科大学(現九州大学芸術工学部)/音響設計学科卒業、同大学院修了 博士(芸術工学)/聴覚、オーディオ測定技術、音響情報処理の研究に従事

キーワード:医療・病院・音量・快適・居心地・音響設計

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【参考資料】騒音目安表


【免責事項】
・本ページの実験結果は、各種実験業務の委託により得た分析結果を記載したものです。当社並びに当該分析結果は、何らかの効果を保証しているものではありません。

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